歴史を振り返って考える職業選択の自由について

みなさんはどのようにして今の仕事を選びましたか。
幼い頃に憧れていた職業と、実際に今選んでいる職業が違う方もいるかもしれません。
「職業を選ぶ」ということは、今では当たり前となりましたが、自由に選ぶことが当たり前ではない時代がありました。
学校の授業で扱う「職業選択の自由」
これは日本国憲法で定められている国民の権利です。
実際に日本国憲法(昭和21年憲法)第22条第1項においては、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択 の自由を有する。」と規定され、この「職業選択の自由」は、自己の従事する職業を決定する自由を意味しており、これには、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち「営業の自由」も含まれるものと記されています。※1
江戸時代に遡ると、武士の子は武士に、百姓(農家)の子は百姓にという世襲制が当たり前でした。
明治、大正と時代が移り変わると、徐々に西洋文化の影響を受けて産業が発展し、産業形態にも変化が現れていきます。
明治時代の中心的な産業は綿紡績業となり、大阪紡績会社の創業を皮切りに、近代的な綿紡績工場が次々と開業し、1890年に国内生産量が輸入量をはじめて上回りました。
その後、1901年に官営八幡製鉄所が設立され、日本製鋼所、釜石製鉄所など民間の製鉄所の設立が相次ぎ、重工業の基礎となる鉄鋼の国内生産が本格的に行われるように変化していきます。※2
産業の発展とともに農村部から都市部への人の移動が生じ、働き方にも変化がみられるようになりました。
そして、第二次世界大戦後、日本国憲法で第22条第1項に「職業選択の自由」が明文化されました。
このように、100年ほど前までは職業を自由に選択することが当たり前ではありませんでした。
仕事を選ぶということが自由になっている現代社会において、選択肢が多すぎるためにどう選んだらいいか迷う方もいるかもしれません。
また、入社した会社に定年まで勤め上げるという文化も変化し、転職が当たり前の時代へと変化しています。
自由に選択できるようになったからこそ、一人ひとりがキャリアや人生を踏まえて仕事を選択していくことが大切なのかもしれません。
参考:
※1 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4v6_1.pdf
※2 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je00/wp-je00-0020j.html