【SDGs】目標1. 貧困をなくそう〜日本の現状と取り組み〜

SDGs目標1. 貧困をなくそう
SDGsの17の目標のうち、1番目に掲げられているのは「貧困をなくそう」です。
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貧困に関しては、SDGsの前身となるMDGsにおいても取り組むべき課題として挙げられており、各国でさまざまな取り組みが行われています。
ちなみに、貧困とは具体的にどのような状態なのでしょうか。
UNDP(国連開発計画)では貧困を以下のように定義しています。
貧困とは、教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のことです。極度の、あるいは絶対的な貧困とは、生きていくうえで最低限必要な食料さえ確保できず、尊厳ある社会生活を営むことが困難な状態を指します。(※1)
ユニセフと世界銀行が発表した分析によると、世界では、6人に1人(3億5600万人)の子どもたちが、「極度にまずしい」暮らしをしているといいます。
こうした貧困は、サハラ以南のアフリカや南アジアなどの割合が高いため日本ではあまり実感しにくいことかもしれませんが、世界的に見ると子どもの貧困は深刻な問題であることがわかります。
また、COVID-19によるパンデミックの影響でさらに状況が悪化する可能性も指摘されています。
こうした状況は日本ではほとんどみられませんが、日本にも貧困は存在しています。
次に日本の状況と取り組みについてみていきたいと思います。
日本の現状と取り組み 〜こども家庭庁の貧困対策〜
日本においてUNDPが定義するような絶対的な貧困はほとんど問題になることはありませんが、「相対的貧困」と呼ばれる状態が問題となっています。
厚生労働省によると、国民生活基礎調査における相対的貧困率は、一定基準(貧困線)を下回 る等価可処分所得しか得ていない者の割合(※2)をさし、平成27年度は15.7%「子どもの貧困率」(17 歳以下)は 13.9%(対 24 年△2.4 ポイ ント)(※3)となっています。
さらに、コロナ禍により困窮家庭が増えている現状もあります。
子どもの貧困は、食事、教育、医療などに影響を与えると言われ、こうした状況を改善するためにさまざまな取り組みが行われています。
特に注目したいのが、今年の4月に創設されたこども家庭庁です。
子どもの最善の利益を第一に、子どもの視点で、あらゆる環境を視野に入れ、権利を保障することで誰一人取り残さず、健やかな成長 を社会全体で後押しするための新たな司令塔とされています。
ここでは、子どもを取り巻くさまざまな課題や健やかな成長のために、貧困だけでなくいじめ問題や子育て、学習環境の整備などが政策として取り組まれています。
貧困に対しては、下記の対策が紹介されています。
●こどもの未来応援国民運動
1. こどもの未来応援基金
企業や個人からの寄付を学習支援団体やこども食堂、フードバンクなど、全国でこども支援を行う団体の運営資金として提供
2. 企業とNPO等とのマッチング
「マッチングネットワーク推進協議会」を通じた企業とNPO等団体の支援のニーズをマッチング
3. 広報活動
「こどもの未来応援フォーラム」の開催を始めとした広報活動により、国民に対してこどもの貧困やこどもの未来応援国民運動について理解を促し支援の輪を広げる
●こどもの生活・学習支援事業
放課後児童クラブ等の終了後に、ひとり親家庭や貧困家庭等の子どもに対し、児童館・公民館・民家・こども食堂などにおいて、悩み相談を行い以下を組み合わせて支援
・基本的な生活習慣の取得支援や生活指導
・学習習慣の定着等の学習支援
・食事の提供
上記のように、問題解決に向けて子どもの視点に立ちながらさまざまな取り組みが行われ始めています。
おわりに
貧困と聞くとどこか遠い国のこと、と思いがちな話題ですが実は日本にも存在しています。
日本の将来を担っていく子どもたちの貧困は、今後の日本の発展にも影響を与える可能性があるため取り組むべき重要な問題です。
1人ひとりがこうした問題に関心を持つことが解決の糸口になるかもしれません。